Vol.2 困難を乗り越えたエピソード
インタビュー内容
困難を乗り越えた エピソード
定保
1991年から1995年まで現地でアシスタントを雇って、2人でアメリカの西海岸を営業していたんですね。営業担当として向こうにいた。行きたいという希望があって、運よく行けたんですけども。ちょうどですから、バブルが調子が悪くなって、日本に対してのバッシングがひどくなった時ですよね。ロサンゼルスのダウンタウンにあるそんなに大きな事務所じゃないんですけど、電話が鳴らない日もありましたし。そういう苦しい時も過ごしたという記憶がありますが、やりがいはすごくありまして。 アメリカの西海岸というのは、帝国ホテルからしますと。アメリカからはニューヨーク州、カリフォルニア州、イリノイ州というのが当時でいう州別で、アメリカ人のビジネスマン観光客が来る地だったんですけど。ですからカリフォルニアは南はロサンゼルス、もうちょっと南ですとサンディエゴ、サンフランシスコとお客さんが多かったんですね。ですからまあ本当に出張に出ては、1日100キロ200キロ車でずっと走ってお客さんの所を回ってまして。 都内の大手主要ホテルはほとんど同じように駐在員がいたんですね。ですから皆さんでよく、一緒にまず日本を売ろうと。ちょっとカッコイイ言い方ですけど。自分のホテルだけを営業するんじゃなくて、まずは日本に行ってもらおうと。日本はいいところですよという宣伝を皆さんと一緒に旅行代理店の人を呼んでやったりですとか。日本に行くならぜひ東京によってください。東京に寄るんだったらぜひ帝国ホテルに泊まってくださいという、そういう活動をしていましたね。 ですから、そういう意味ではマーケットは大きかったですから非常にやりがいがあったことは覚えていますし。当時は日本だけでなくで、ビヨンドジャパンで、日本を超えて中国ですとか、インドネシアとかそういうところに行く外国人の方が多かったんですね。ですから、結構一生懸命、日本航空さんだとか全日空さんだとかと日本を売り込んだ記憶があります。 あとはこれは大変だったなと思ったのは営業課長になった時にですね。ちょうどセプテンバーイレブン、ナインイブン。米国同時多発テロが起きたんですね。今でもそうなんですけど、アメリカからいらっしゃるお客様が当時も一番多くて、全体の2割くらいがアメリカ人の方。で、同時多発テロが起きた直後はもう2割のお客様が一気に止まっちゃったんですよ。来なくなっちゃったんですよ。その時に担当地域の営業課長だったので、これは困ったなと。
聞き手
言ってみればどうしようもない状況ですよね。
定保
どうしようもなかったですね。これはもう値段を下げようが何をしようがそういう問題じゃないですから、ですから逆にアメリカからいらっしゃらないお客様でなく日本国内で泊っていただけるお客様を増やそうと。観光客を含め。これは一生懸命営業をやりましてね。当時そんなに大きなチームじゃななかったんですが、10人15人位のチームだったでしょうかね。国内の旅行代理店、いろんなお客様にとにかくファックスでも連絡をしたり、営業活動もしたり、郵送物も送ったりしたり、おかげさまで結果アメリカからいらっしゃらないマイナスもカバー出来たんですね。大変うれしかったですね。
聞き手
本当に皆さんの努力のたまもの。
定保
チームワークと言いますかね、総合力というか、おかげさまで125年間同じ地でずっとやってますんで、総合力はすごいと思いますね。
聞き手
皆さん働いてらっしゃる方のプライドと言いますか。私たちの代で、歴史のある帝国ホテルを傷付けるわけにいかないっていう皆さんのプライドですよね。なかなかでも本当にこの20年ぐらいは本当に大変なことが多かったんじゃないかと、常務になられた時もちょうどリーマンショックの。
定保
そうですね。やっぱり外国からいらっしゃるお客様が数が減り、ブレーキがかかり、サーズが起きたり、最近では東日本大震災が残念ながら発生し。これもまた我々の業界にとりましては、年間平均稼働率が8割からいい時は8割5分位。直後は一気に3割台まで落ちましたね。
聞き手
そんなに落ちたんですか。
定保
落ちました。本当にロビーに誰もいないっていう日が。考えられなかったです。
聞き手
バブルの時やリーマンの時は、もちろん企業の会合が減ったりパーティーが減ったり色々なことがあったと思うんですけど。やっぱり震災の時は色んな風評もあって、特に海外の方は原発の関係で日本が全体的に危ないんじゃないかっていう空気がありましたもんね。
定保
おっしゃる通りですね。ただおかげさまで、思ったよりは早く回復を致したものですから、嬉しかったですし。私共ホテルの場合はよくいらしていらっしゃるリピーターというか顧客の方がですね。 インペリアルクラブという会員組織があるんですけれども。この方々が、宿泊の売り上げの4割近くを占めるぐらいの多くの方がお泊り頂いているんですが、その方々はそういうリーマンショックとかそういう震災後とかでもですね。決して減ることなく、やっぱり来て頂いたんですね。これはご支援いただいているお客様のおかげだと思いますし、なんとかそれを乗り切って来れたのが1800人、大阪や上高地の全部を入れますと2400人、グループ全体入れますと、3000人近くいるんですけど。全員がそういう意識を常に持って、頑張ってやって貰っているということが、その総合力に繋がり、マイナスを最小限に食い止めることができたっていう理由だと思いますね。本当に今のこの立場としてはありがたいと思います。本当に感謝をしたいと思いますね。
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経営者プロフィール
| 氏名 | 定保 英弥 |
|---|---|
| 役職 | 代表取締役社長 帝国ホテル 東京総支配人 |
会社概要
| 社名 | 株式会社帝国ホテル |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都千代田区内幸町1丁目1番1号 |
| 業種分類 | サービス業 |
| 代表者名 | 定保 英弥 |
| 従業員数 | 1941 名 |
| WEBサイト | http://www.imperialhotel.co.jp/ |
| 事業概要 | ホテル事業(宿泊、レストラン、宴会)、不動産賃貸事業 |