八海醸造株式会社/株式会社八海山 日本酒『八海山』でお馴染み。世界へ挑戦する新潟の酒造会社 八海醸造株式会社/株式会社八海山 代表取締役社長 南雲 二郎  (2015年9月取材)

Vol.2 製造と営業

インタビュー内容

製造と営業

角田

うちの父の方針が、販売するという事と作るという事は違うと、良い酒を造れば売れるというものじゃなくて、営業をしながら良い物が売れている。ですから、営業無くして製造なしという事をよく言っていました。その当時から、商品ですから良くて当たり前なんだと、良い酒だから売れるんじゃなくて、そもそもが品質が良くなければ売れないんだと、だから最低条件として、良い品質の物、そしてその良い品質の物を、いかにお客様にお伝えして、ご理解いただいて、信用力、ブランド力をつけていけるかっていう事が出来る、製造と営業は両輪だっていう考え方でずっとやってた人ですね。

ですから、うちの父親は営業畑ですし、経理部門で専務がいて、その下に製造の棚丸さん、それから製品化、瓶詰めしなくちゃいけないですから、そういう各部門部門に責任者がいて、その人達に絶対的な信頼を持ってやっていました。

聞き手

実際に若い時にまずは営業という形で、商品を売るってやってらしたと思うんですけど、現場からいろんな声が拾われたりっていうのが、今もの作りに反映されてきている、生きてきているってありますよね。

角田

今、56ですから、30年前に営業に入ったんですけど、その頃は、うちの酒は結構黙ってても売れたんですね。

聞き手

卸す制限をされてたぐらいすごく売れてたっていう。

角田

ですからその当時、営業なんていらない、八海山いらないじゃないかって、僕は営業ですと、皆さんに挨拶の時、いらないじゃないかって言われてたんですよ。確かに、一般的な営業って買ってくださいって、値引きはするかしないかは別ですけど、こういう条件付けますから何とかお願いしますって、戦略的にこういう事やりましょうって言うのは、なくても売れた時代なんですね。

ただそれは、市場に対して供給量が少ないから営業がいらないという考えじゃないですか。でも、市場に対して量が少な過ぎるって言うのは、付加価値、価格、量が足りない事によっての、価格の高騰というマイナス要因になるわけですよ。僕らは、今一番安い約一升瓶で一番安いやつで、2000円の物を作ってるわけですね、でも僕らの商品価値というのは、2000円で買って頂いて、飲んで頂いて、そうして、割安感を感じてもらえるから、お客様は選んでくれるのであって、珍しいから買って飲んでくれる人は、長続きしないですよ。

そういう事を、営業の中で感じて、製造の方でも改善していったりだとかそういう事はしていきましたよね。市場に対して日常的なリピートして下さる人が、当たり前に手に入るような環境を作っているメーカーには責任があるという、まあ当たり前なんですよ。自動車でもテレビでも、電気でもみんなそういう事をやっていますから。僕らもその辺りから供給責任、品質責任、良い物を作るのもそうだけれど、それを飲みたいっていう人がいっぱい、市場が大きくなるのであればそれに、供給させて頂く責任も発生してくるって言うような事に決めたわけですね。まあそれは、当たり前の事ですから。そして、両方の責任を果たすことによってお客様から信用されて、継続した企業として成り立っていくんだという事で。ですから我々は急成長の会社ですよね。

聞き手

社長が最初営業から始められて、いつの時代から全ての製造工程を見られるようになったんですか。

角田

それはね、営業の時からそうですよ。社長の役割、社長っていったって本当に小さい組織の社長ですけども、社長の役割っていうのは、全般を見なくちゃいけないんですね。先程も言いましたけど、何の為にどういう品質の物を作るっていう事は、社長が決めるんですよ。で、今度はそれを作る為の条件を整える、製造に関しては、例えば設備投資をしなくちゃいけないとか、原料の確保をしなくちゃいけないとか、あとは組織の体制を整えていかなくちゃいけないとか。

先程お話ししました、量を作ると決めた時に、品質を下げないで量を作るという事は、製造部に任せていても駄目なんですよ。そのじゃあ人をどうする、宿舎はどうする、寝泊まりだってある訳ですから、そういう事での勤務体制をどうしているっていう事は全部、社長が関わっていくので、僕はその当時うちの父親も社長ですけど、そういう事にも関わっていましたから、酒を造る事は出来ないけれども、酒を造る為の条件だとか、そういう事は相当関わったというか、人集めまで全部やりましたから。

聞き手

そうなんですね、若い時から、お父様の傍で、そういった事を全体的にやっておられたという。

角田

それから、さっきも言いましたように、僕は会社の中で育ちましたので、作る人達だとか皆、家族みたいな感じで育ってますから、作りの精神的な面だとか、そういう事も大概覚えさせられたんです。

聞き手

肌に染みて育って来たという感じですよね。

角田

そうですね。


経営者プロフィール

氏名 南雲 二郎
役職 代表取締役社長

会社概要

社名 八海醸造株式会社/株式会社八海山
本社所在地 新潟県南魚沼市長森1051番地
設立 1922
業種分類 食料品、飲料・たばこ・飼料製造業
代表者名 南雲 二郎
従業員数 147 名
WEBサイト http://www.hakkaisan.co.jp/
事業概要 清酒「八海山」の製造、並びに酒類の卸、八海山泉ビールの醸造、魚沼地域の産物・加工品の販売
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