島村楽器株式会社 日本国内に150超の店舗と音楽教室を展開する、国内シェアトップの総合楽器店 島村楽器株式会社 代表取締役会長 島村 元紹  (2015年4月取材)

Vol.3 社長業=教育業

インタビュー内容

社長業=教育業

島村

人の問題が一番重要な要素だと思います。仕事をするうえでね。社員をどう育てるか。だから私は社長業というのは教育業だということを実感しましたね。人を育てることができないと、会社としては発展しないと。資金は銀行から貸してくれますから、それなりの収益が上がっていれば、貸してくれますから。人は自分のところでね、作らないといけない。それで30数年前にこの業界では初めて大卒、大学新卒の採用を始めて、今年入って来たのが40期生です。40年前から始めて。

聞き手

その当時も業界で大卒者の採用なんて話は聞いたことないと周りからものすごくバッシングがあったと。

島村

バッシングがありましたよ。楽器屋が大卒を採るなんて、どういう考えだと言われて。確かにね最初の頃はね、新卒の学生が何人か、10人ぐらいですかね、最初に採ったけど。やっぱりなかなかね、その時はまだ店が3店舗か4店舗ぐらいでしたからね、町の楽器屋の親父ぐらいに思われていたから、私の言うことを完全に受け止めないんですよ。例えばね、うちは商品の価値と人の価値、店員の価値で売るんであって、価格で売るのではないと。価値訴求だと。だから他の店より安く売ってはいけない。時には他の店より高く売りなさい。そしたらそれを聞いた新卒の学生がね。なんだこの社長はって言って私の言うことを聞かないわけですよ。辞めて行ったやつも結構多いですよ。

聞き手

やっぱり大卒は駄目かなって思われなかったんですか?

島村

思わないです。絶対こちらに問題があると、私の教育の仕方が悪いということと、説得力がない。段々お店が増えてきたら、私のいうこともある程度聞いてくれて、今の取締役なんかはみんな新卒ですから。5期生とか6期生とかね。もうみんな50代になってますけどね。

聞き手

ずっといらっしゃる方が。

島村

今の若者は自己責任という感覚が少し少ないんです。他人に転嫁するんです。例えば私共に入ってきてね、売れないと。客が買ってくれないと客のせいにするやつがいるんですよ。そうじゃなくてお客があなたを評価してくれないから買ってくれないんだという自己責任感をもたないといけないと言っているんですよ。でも大部分はね、お客が買ってくれない。

聞き手

特に物を扱ってらっしゃるとそうですよね。商品が良くないとか。

島村

他人に転嫁するわけですよ。他人に転嫁すると、この仕事は向いていないと辞めて行くんです。私共も新卒は3年で3割は辞めますね。全体と同じです。それはやっぱり結局自己責任で考えないと、私は新社員の採用説明会の時には、最初に言うんです。そういうことね。私も説明会に出るんです。明日も説明会を今年の第一回をやるんですけどね。

聞き手

会長自ら説明会でお話されるんですか。

島村

そうです。それで私共の考え方をしっかり言いましてね。うちの会社は入ったら、お客様にどういうふうに評価されるか、変化しなくちゃだめだと。オバマさんじゃないけど、チェンジだよと、変化していかない限りはうちの会社に入らない方がいいと。余計なことかもしれませんけど。私共の会社は年に2回給与改定があるんです。その話もはっきりするんです。私は自分の考えていることを正直に学生さんに伝えることが親切だと思うから、なんでも話すんです。ですから年に2回給与改定をするけども、その評価はお客の評価が会社の評価だと言うわけです。お客が評価してくれた人を評価する。SABCDとランクを付けてね。SABくらいまでは、昇給するわけです。年に2回昇給するんですよって。普通の会社は年に1回でしょって。だから業績で成果をきちっと出して、お客に評価される人は給与ががっとあがりますよって。                                                 逆に評価がCDだと、減給だと言うんです。年2回減給されるんだよと。そういうのを聞いてですね、それは怖いな、やばいなと思う学生は来てもらわなくていいと思うからとはっきり言うんですよ。で、やる気のある子だと年2回給与があがるんだったらいいな、チャンスだと捉える子だけが入ってくれればいいと。年功序列ではありません。やっぱりお客様に評価される、仕事の評価によって変わってきますから。

聞き手

イメージですが、たくさん学生さんが来られると思うんですけど。中には単純に音楽が好きで楽器に囲まれていたい。商売というよりも趣味の延長線上みたいな感覚で来られる方も結構いらっしゃるんじゃないかと。

島村

結構きますよ。そういう子はまたね、やっぱり趣味のつもりで来ると、その中でも本気になって仕事をしてくれれば、お客様は評価してくれて。あんた気にいったから買うよ。

聞き手

逆にプラスですよね。

島村

本気になるとね。ところが音楽が好きだからって来るだけで、仕事に対して本気にならない子はお客さんから評価されないですから、成果が出ない。というのは、私共はポスレジが入ってますから、リアルタイムにその1人1人の売り上げ数字が全部出るわけですね。そのお客様の評価を会社の評価としますから。それでもって逆に頑張る子とこんなんじゃ嫌だなって結構辞めていきますよ。辞めていく子はさっき言ったみたいに、この仕事は自分に向いてないとか言ってね。自己責任を持たない、他人転嫁、そういう子はどこに行っても転々とします。


経営者プロフィール

氏名 島村 元紹
役職 代表取締役会長

会社概要

社名 島村楽器株式会社
本社所在地 東京都江戸川区平井6-37-3
設立 1962
業種分類 小売業
代表者名 島村 元紹
従業員数 2044 名
WEBサイト http://www.shimamura.co.jp/
事業概要 エレキギター等のライト・ミュージック商品、管弦楽器、ピアノ、電子オルガン、AV機器等の販売。各種音楽教室、音楽サロン、イベント・練習スタジオの運営。
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