株式会社コメ兵 東海から全国に進出し成長を続けるリユース企業 株式会社コメ兵 代表取締役社長 石原 卓児　 (2015年5月取材)

家業を継ぐことへの想いと ヨドバシカメラ勤務時代

聞き手

将来自分もお父様と同じように家業を就いで、この会社をやるんだっていうような意識でおられたんですか。

石原

いつからかっていわれるとはっきりわからないんですけど。やはり記憶がちゃんとしてきた年齢、小学校３年生ぐらいですかね。やはり後継ぎだとかとか、商店街の方から後継ぎができて良かったねと父親が言われているシーンを横で見ていたりしていたので、後継ぎって何だろうと思いながら、いずれ私もコメ兵に入って行くのかなというのはちょっとずつ感じていましたけど。

聞き手

でも、進学するにつれて将来の進路というのを考えていかなくちゃいけない場面がどんどん具体的になっていくわけですよね。継ぐこと前提の就職って感じだったんですか。

石原

親はそうだったと思います。反面ですね、幼い時は決まっていることをやっていくことをあまり好きじゃなくてですね。やはり個人と言うよりもあそこの息子、コメ兵の息子という呼ばれ方がやはりあまり好きじゃななくてですね。別にそれに反発しているわけでもなく。どちらかというと自分を見てほしいというイメージが強かったので。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やはりスポーツを一生懸命やって１人の選手として見てほしかった部分もありますし、どっか反面で、確かに後継ぎとして入れば、ある程度約束された何かがあったかもしれませんけれども。単純にその学校を卒業してすぐに入るというよりは、はやり外で一からというか、社会人としての一からを経験した後に、それでも私という人間がコメ兵にとって必要な人間なんであれば、入れて頂くことも考えた方がいいかなと思ってましたけど。やはり当時はどっかで戻ることを意識しながらも個人として、そこで社会人としてうまく行けば、その道もありかなとか色々学生時代含めて社会人最初のスタートの時も悩んだ部分はありましたけれども。

聞き手

まずはすぐに会社に入社するのではなくて、ヨドバシカメラさんにご入社をされたんですよね。いわゆる小売業というところでは非常に大手だと思うんですが、そこに新卒で入られていかがでしたか。

石原

やはり１人の社会人として、こうあるべきだというのを含めてですね。物を売るという商売以上にお客様に対して、こういうお気持ちで接客する。もしくは当然競合も乱立する中で、その会社の看板を背負っている。いち販売員として、どうやってお客様に買って頂くのかとか、そういった商売の楽しさ。また難しさを経験したというか体験したというか、やはり簡単に物って売れないんだなというのはすごく感じましたし、逆にこんなに物って売れるんだってことも色々と経験させて頂いたので。そういうカメラ業界、量販店のトップの会社に勤めさせて頂いた経験というのは、すごく私にとっては社会人としても礎となったのかなと思います。

聞き手

できるだけ忙しい所に配属してほしいとご自身でおっしゃったということなんですけども。ヨドバシカメラさんの新宿西口、しかも社名にもなっているカメラ部門でやって来られたというので。本当に想像を絶する忙しさかなというイメージなんですが。当時はてんてこまいでやってらっしゃった感じですか。

石原

そうですね。本当に私は名古屋の人間だったので、ヨドバシカメラという会社の規模を知らなかったんです。名古屋にそんな大きいカメラ屋さんなんてないので、カメラ屋さんに受けに行って、最初は本社に面接を受けに行ったので。お店にいくことなく、いきなり本社に行って。大きい本社だなと思ってはいたんですけど。いざちょっとずつ研修行けば西口が大きいだけじゃなくて、どこも大きいんだなと気づいてきて、やはり自分で一番忙しい所に入れてくださいって言ったものの。本当にその忙しさは想像を絶するというか。

聞き手

でも先ほども物がすごく売れる様子や、もしくは売れない様子やという話がありましたけど。ちょうど就職された時がバブルが崩壊した直後ぐらいですよね。それまでの消費のスピードと違う時に差し掛かっていたときですよね。

石原

ただ、対比するものがなかった１つの局面もあるとおもうんですが、やはりデジタルカメラという新しい製品が世に出たばかりだったので。それがフィルムのカメラだろうが、デジタルのカメラだろうが、カメラというものが非常に注目されていた時代だったものですから。世の中的には厳しかったかもしれませんが、やはり物が非常によく動いていたお店だったなというふうに思います。