Vol.4 旬の成功とその裏側
インタビュー内容
旬の成功とその裏側
遠藤
欧米では、今「旬」というものが一つのブランドになってまして、これはいわゆるデザインが非常に和風のテイストになっています。今まで欧米では、包丁で言うと、どちらかというとドイツの包丁がもう主流だったんですけども、2000年位からの日本食ブーム、和食ブームだとか侍ブームだとか、日本のもの作りだとか、日本のデザインの良さっていうのが、海外でも受け入れられる流れがあったという事で、それに上手く乗りまして、デザインが良いと、それからダマスカス工だとか、ハンドルが和包丁の様な、栗型のハンドルなんですね、栗型ってDの様になってる和包丁のハンドルをデザインしてるという事だとか。
それから単価もですね、それまでは一丁あたり非常に安いものだったのが、旬が出た頃ですね、大体一丁100ドルぐらいしましたから、ですから、お客さんも良いものを使って非常に気に入るし、それから流通っていいましょうかね、そういった所も安いものをやってるより利益が上がる、我々もまさにWin-Winということであったと。
それからストーリーにつきましても、日本のいわゆるストーリーですね、和食のストーリー、そういったものも受け入れられましたし、そういったことで旬っていうのが成功していきましたし、今では累計500万丁販売数を超えたという状況になっております。
遠藤
ヒット商品というのは、意外なものがヒット商品になるというのが結構私共多くてですね。旬自身もですね、どちらかというとひょうたんからこまの様なもので、2000年頃にですね、アメリカ市場、ヨーロッパ市場をやらなくちゃいけないということで、違う商品を見本市か何かに出してたんですよね。ところがそれもさっぱり受け入れられなくて、いろんな見本市で私もブースを出してですね、展示をして何か商談が出来ないかという考えですけど、本当に閑古鳥が鳴いていてなかなかお客さん来て頂けなかった。それはやっぱり今の話のDUPSっていうのが足りてなかったというふうに思いますね。
で、それが旬がたまたま時流に乗ったそういうもので、じわじわと火が付いていって伸びたということなんです。ですから、最初から狙ってというわけではなくて、いろんな事をやりながら、試行錯誤しながら、それが中には実物もあるという。包丁に限らず我々いろんな事業やってますけど、そういった例が多いですね。最初から狙って考えていたとおりになったっていうのは、本当に稀な例で、色々やっててそこの中から成功事例が出てくるという形が多いですね。
遠藤
私よく言ってますけど、失敗は進化の元で、失敗は成功の元っていうのは、よく言われますけど、失敗したら必ず成功するしかないので、失敗は進化の元と、ですから、失敗をして上手くいかなかったものでも、何か得られるものがあるんですね。我々も色々な所とも共同でいろんなものを開発して、いろんな事を今までもやってますし、今でもやってますけども、それが全て成功しているわけじゃないんですね。でもそこの中から、失敗の中から必ず得るものもあるし、次に繋がるものは絶対あるんですよね。それをやっぱり持ちながらまた次へ次へとチャレンジしていくという事が進化の元になる。そういう考え方でやってるという事ですね。
最近よくいってますのは、昔から新しい事をやる、チャレンジをしろと。どこの企業でも、どこの会社でもそうだと思いますけど、ただやっぱり当然それは失敗がつきものですから、失敗をどう担保するのか、失敗をどう次に生かせるかっていうそういう事を、社内に周知させていかないとなかなか新しいものに、誰でもそうですけど、これをやり始めて失敗したらどうなるんだろうという事で、躊躇しますよね、そういった躊躇いがあるとなかなか新しい事にチャレンジ出来ないので、失敗しても構わないということ、そういう意識を持つというのはなかなか難しいというふうに思いますから、それを失敗しても構わないと。
我々の場合は、1万アイテムもあって1つのプロジェクトを失敗しても、会社の屋台船が揺らぐようなそういう失敗ではないので、そういった会社の失敗、屋台船が揺らぐような失敗は私自身が判断が誤るとそういう事になる可能性はありますけども、一般の社員の場合はそういう事はないので、そういったものを奨励するみたいなそういう雰囲気を出来るだけ作るように、これは中々難しいですけども、そういう心掛けみたいなのは一応やっていたわけですけど。
経営者プロフィール
| 氏名 | 遠藤 宏治 |
|---|---|
| 役職 | 代表取締役社長 |
| 生年月日 | 1955年10月21日 |
会社概要
| 社名 | 貝印株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都千代田区岩本町3-9-5 |
| 設立 | 1908 |
| 業種分類 | その他製品 |
| 代表者名 | 遠藤 宏治 |
| 従業員数 | 273 名 |
| WEBサイト | http://www.kai-group.com/ |
| 事業概要 | カミソリやグルーミング用品、爪切りを含むビューティケア用品、包丁をはじめとするキッチン用品・製菓用品、医療用刃物などの企画・販売 |